スタッフの採用がうまくいかず、今いる職員で何とか回している。そんな介護事業所は少なくないはずです。
記録や報告書の作成に時間がかかり、残業が減らない。シフトの調整も毎月頭を悩ませる。そういう声もよく聞きます。
結論から言うと、こうした日々の業務の多くは、ChatGPTなどのAIを使うだけで驚くほど楽になります。
この記事では、小さな介護事業所でも今日から試せるAIの使い方と、個人情報の扱いで気をつけたい点を具体的に紹介します。
研修で終わらせないAI導入支援|研修で終わらない、「動く」AI導入支援
介護業界でAI活用が急がれている理由
人手不足と記録業務の負担が重なっている
介護の現場では、利用者一人ひとりの状態を毎日記録します。これだけでも職員一人あたり1時間近くかかることも珍しくありません。
そこに人手不足が重なると、記録のための時間が削られ、サービス残業に回ってしまう。そんな事業所も多いのではないでしょうか。
『人を増やせば解決する』とは思うものの、求人を出しても応募が来ない。これも介護業界特有の悩みですよね。
「AIはまだ早い」と思っていませんか
AIと聞くと、介護ロボットのような大きな投資を思い浮かべる方も多いはずです。
ただ、ここで紹介するのはそういう話ではありません。スマホやパソコンでChatGPTを開き、文章を打つだけで使えるものばかりです。
実は、特別なシステム導入もIT担当者も必要ありません。代表や現場リーダーが、すきま時間で試せる範囲の話です。
地域に根ざした事業だからこその事情
介護事業所の多くは、特定の市区町村を中心にサービスを提供しています。利用者の相談は、ケアマネジャーからの紹介や、ご家族からの電話で来ることが多いですよね。
こうした地域密着型の仕事では、担当者が変わってもサービスの質が落ちない仕組みが欠かせません。マニュアルや記録の文章をAIで整えておくことは、そのための土台にもなります。
特に4月の人事異動や契約更新が重なる時期は、書類作成が一気に増えます。忙しい時期ほど、AIで減らせる作業を見つけておく価値があります。
記録・書類作成にAIを使う
日々の記録の下書きをAIに任せる
介護記録は、箇条書きのメモから文章に整えるだけでも時間がかかります。実は、この部分はAIが得意な作業です。
例えば「午前10時 入浴介助 血圧128/80 食欲普通 会話はっきり」といった箇条書きをAIに渡せば、報告書らしい文章にまとめてくれます。
もちろん、できあがった文章はそのまま提出せず、職員が読んで事実と違う部分がないか必ず確認してください。AIは事実を知らないので、言い回しを整えてもらう、という使い方が安全です。
ケアプラン・報告書の文章を整える
ケアマネジャーが作る文章や、サービス提供責任者が家族に出す報告書も、言い回しに時間を取られがちです。
「もっと柔らかい言い方にしたい」「専門用語を家族向けに直したい」といった調整も、AIに頼むと数秒で候補を出してくれます。
ここでも大事なのは、最終的な判断は必ず人が行うということです。AIの文章をそのまま信じて提出するのは避けましょう。
個人情報の取り扱いに注意する
ここで一つ、絶対に押さえておきたい点があります。利用者の氏名や住所、病歴といった情報は、そのままAIに入力しないことです。
要介護者の健康情報は個人情報保護法でいう「要配慮個人情報」にあたり、扱いにはより高い注意が求められます。詳しくは個人情報保護委員会の資料で最新情報を確認してください。
実務では、氏名を「Aさん」に置き換える、生年月日を外すといったひと手間で、多くの作業は十分こなせます。この一手間を、事業所のルールとして決めておくことをおすすめします。
| 用途 | 使うツールの例 | 費用の目安 | 始めやすさ |
|---|---|---|---|
| 記録・報告書の下書き | ChatGPTなどのチャット型AI | 無料〜月数千円程度 | すぐ始められる |
| シフトのたたき台作成 | チャット型AI+表計算ソフト | 無料〜月数千円程度 | 慣れが必要 |
| 求人原稿・お便り作成 | チャット型AI | 無料〜月数千円程度 | すぐ始められる |
| マニュアル・研修資料 | チャット型AI+社内の雛形 | 無料〜月数千円程度 | 少し時間が必要 |
いずれも2026年11月時点の目安です。料金プランは変わりやすいので、最新情報は各ツールの公式サイトで確認してください。
シフト作成・勤怠管理での活用
シフトの組み方をAIに相談する
毎月のシフト作成に何時間もかけている、という話もよく聞きます。希望休・資格・経験年数のバランスを取るのは、頭を使う作業ですよね。
職員の希望休と必要人数の条件をAIに伝えれば、たたき台のパターンをいくつか出してもらえます。最終調整は人の目で行うにしても、最初の案を作る時間はかなり減らせます。
シフト表は、画面とにらめっこしながら作っている方も多いはずです。条件を一つひとつ確認する時間だけでも減らせると、随分楽になります。
急な欠勤が出たときのシミュレーション
夜勤帯に急な欠勤が出た、という場面は介護現場では日常茶飯事です。誰にどう連絡して、誰で穴埋めするか、その場で考えるのは大変です!
「この条件で誰を動かせば一番負担が少ないか」をAIに整理してもらうと、候補の優先順位がすぐに見えてきます。判断の材料を早く手元に置けるのが、ここでのAIの役割です。
欠勤の連絡は、たいてい早朝や深夜に来ます。その場で頭が回らない時こそ、AIに条件を伝えて候補を出してもらう使い方が向いています。
採用・求人でのAI活用
求人原稿をAIで作る
介護業界は採用が本当に大変です!求人媒体に出しても応募が来ない、という悩みを抱えている事業所は多いはずです。
求人原稿の文章をAIに作ってもらうと、「未経験歓迎」「夜勤なし」といった条件を伝えるだけで、何パターンかの訴求文を出してくれます。媒体ごとに文字数が違う、という時にも調整が速いです。
ただ、勤務条件や給与といった事実の部分は、必ず実際の内容と一致しているか確認してください。ここでズレがあると、入職後のトラブルにつながります。
面接前の質問リストを作る
面接の質問を毎回その場で考えている、という代表の方も多いのではないでしょうか。
応募者の経歴やブランクの長さをAIに伝えると、聞いておきたい質問の候補を出してくれます。『こんなことまで聞いていいのかな』と迷う質問も、言い回しを変えた候補をもらえるので助かります。
当社でも、似た課題に取り組んだことがあります。
当社の事例(受託先(BtoB))
課題:週次の定例資料・着地見込みを毎週手作業で作っている
やったこと:媒体ごとのデータを自動で集め、週次の実績・着地見込み・定例資料を自動作成
結果:定例資料の作成を自動化。担当者は数字の読み解きと打ち手の検討に集中
家族・利用者とのコミュニケーションにAIを使う
報告文・お便りの作成
月1回のお便りや、利用者の様子を伝える報告文。これも介護事業所ならではの業務ですよね。
「今月の様子を家族向けに3段落でまとめて」とAIに頼めば、たたき台はすぐできます。そこに事業所らしい言葉を少し加えるだけで、十分な文章になります。
行事の写真やちょっとしたエピソードを添えると、お便りの印象はさらに良くなります。AIに下書きを頼みつつ、エピソード部分は職員の言葉で加えるとバランスが取れます。
クレーム対応の文章を考える
家族からの指摘や、事故後の説明文は、言葉選びに気を遣う場面です。感情的な場面だからこそ、落ち着いた言い回しを考える時間が欲しいですよね。
AIに状況を説明し、「誠実で、言い訳に聞こえない言い方にして」と頼むと、文章の下書きをいくつか出してくれます。送る前に必ず上司や関係者で内容を確認してから使いましょう。
こうした言葉選びの難しさは、どの事業所でも共通しているはずです。下書きを早く用意できれば、確認やすり合わせに時間を使えます。
研修・マニュアル整備にAIを使う
新人向けマニュアルの下書きを作る
新人が入るたびに、口頭で同じことを説明している。そんな事業所も多いはずです。マニュアルを作る時間がなかなか取れない、というのもよくある話です。
業務の流れを箇条書きでAIに渡すと、新人向けの説明文に組み立ててくれます。一度作れば、次の新人からはそれを土台に直すだけで済みます。
動画や写真を使ったマニュアルが理想ですが、まずは文章だけでも整っていれば十分です。AIで下書きを作り、ベテラン職員に読んでもらって手直しする、という流れがおすすめです。
ヒヤリハット・事故報告書をまとめる
ヒヤリハットの報告は、書くのが億劫になって後回しにされがちです。これも、AIに箇条書きを渡せば文章化を手伝ってもらえます。
「何が起きたか」「なぜ起きたか」「次はどうするか」の3つを箇条書きで渡すだけで、報告書らしい文章になります。書く手間が減れば、報告自体をためらう気持ちも減っていくはずです。
件数が増えてくると、どこで同じようなミスが起きているかも見えてきます。文章にする手間が減れば、報告そのものが続きやすくなるはずです。
AI導入で気をつけたいこと
個人情報・健康情報の扱い
ここまで紹介した使い方に共通するのは、「利用者を特定できる情報は入力しない」というルールです。氏名・住所・生年月日・病名は、入力前に必ず外しましょう。
『AIに頼って大丈夫かな』と不安になる方もいるかもしれません。そう思うのは自然です。ただ、入力する情報を一手間置き換えるだけで、リスクはかなり抑えられます。
事業所によっては、どこまでAIに入力してよいか、簡単な内部ルールを紙1枚で決めておくと安心です。職員が個別に判断する状態は避けたいところですよね。
記録の作成義務とAIの関係
介護保険制度では、サービス提供の記録を一定期間保存することが求められています。AIはあくまで文章を整える道具であり、記録そのものの正確さを保証するものではありません。
記録の文章が整っていても、内容そのものが事実と違えば意味がありません。AIが作った文章は、必ず職員の目を通してから確定させましょう。
最終的な内容の責任は、記録した職員と事業所にあります。AIが作った文章は下書きとして使い、事実確認は必ず人の手で行う。この順番を守れば、安心して活用できます。
まとめ
介護の現場は、人手不足と記録業務の負担が同時にのしかかる、厳しい環境です。だからこそ、AIで減らせる作業は早めに減らしておきたいところです。
記録の下書き、シフトのたたき台、求人原稿、お便りの作成。どれも今日からスマホ1台で試せます。
一方で、利用者の個人情報を入力しない、最終判断は人が行うというルールは、事業所として最初に決めておきましょう。
当社では、こうしたAIの使い方を業務に組み込むお手伝いをしています。AI導入支援は1業務10万円から、継続的なご相談は顧問契約で月5万円からお受けしています(いずれも税別)。
まずは、一番時間がかかっている業務から、AIに任せられないか試してみませんか!

コメント