確定申告の時期、面談メモの整理と入力作業に追われて、気づけば深夜になっていた。そんな経験、ありませんか。
結論から言うと、税理士事務所の日々の業務は、AIを使うことでかなり楽になります。人を増やさなくても、今いるメンバーの手が空く場面が増えるんです。
この記事では、税理士・会計事務所がすぐに試せるAIの使い方と、気をつけておきたい守秘義務の話をまとめました。
研修で終わらせないAI導入支援|研修で終わらない、「動く」AI導入支援
税理士事務所の日々に、AIが入り込んできた理由
確定申告の時期、毎年同じことで苦しんでいませんか
2月から3月、確定申告の時期は誰もが忙しくなりますよね。顧問先からの問い合わせも一気に増え、電話とメールと面談が同時進行になることも多いはずです。
そのうえ、面談の記録作成、書類の仕分け、入力作業といった「手は動かすけれど頭はそこまで使わない」仕事が、繁忙期ほど積み重なっていきます。実は、この手を動かす系の作業こそAIが力を発揮するところなんです。
例えば、顧問先との面談で聞いた内容を、その場でメモしながら整理するのは大変です。でも録音しておけば、あとからAIに要点をまとめてもらえます。
「人を増やす」以外の選択肢ができた
これまでは、業務量が増えたら人を増やすか、既存のスタッフが残業で吸収するか、どちらかしかありませんでした。
ただ、小さな事務所ほど採用は簡単ではありませんよね。経験者はなかなか見つからず、育成にも時間がかかります。
AIは人を置き換えるものではなく、下書きや整理をいったん済ませてくれる存在だと考えるとわかりやすいです。最終判断は必ず税理士が行う、という前提は変わりません。
面談メモや議事録作成にAIを使う
録音→文字起こし→要約という流れ
顧問先との面談を録音し、文字起こしツール(Otter.ai、Notta等が代表的です。2026年11月時点の目安で、最新の機能や料金は各公式サイトで確認してください)にかけると、話した内容がテキストになります。
その文字起こしをChatGPTやClaudeのようなAIチャットに読み込ませ、「要点を3つにまとめて」「決定事項と次回までの対応事項を分けて」と指示すれば、議事録のベースができあがります。
手順はこんな感じです!
- スマホやICレコーダーで面談を録音する(事前に顧問先へ一声かけておきましょう)
- 文字起こしツールでテキスト化する
- AIに要約と項目分けを依頼する
- 税理士がチェックし、必要な部分だけ手直しする
「言った内容」をそのまま資料に残せる安心感
『メモを取りながら話を聞くと、相手の話に集中できないんですよね』という方も多いはずです。録音して後からAIにまとめてもらう方法なら、面談中は顧問先の話にしっかり向き合えます。
また、言った・言わなかったの行き違いが減るのも大きいです。「先月の面談でそうお伝えしましたよね」と、記録を根拠に話せる場面が増えます。
こうした記録は、税務調査が入った際の経緯説明にも役立ちます。ただ、顧問先の経営情報が含まれるため、保存場所とアクセス権限はきちんと決めておく必要があります。
税務相談の下書き・FAQ対応にAIを使う
よくある質問への回答ドラフトを作る
「この費用は経費になりますか」「インボイス対応はどうすればいいですか」といった質問は、顧問先ごとに言い方は違っても、内容はかなり重なりますよね。
こうした質問への回答の下書きは、AIに作ってもらうと時短になります。例えば「個人事業主が自宅兼事務所の家賃を経費にする際の考え方を、やさしい言葉で300字程度で説明して」と頼めば、回答のたたき台が出てきます。
そのたたき台に、その顧問先固有の事情(業種、契約形態、過去のやり取り)を税理士が加えて仕上げる、という流れにすると、ゼロから書くより時間が大幅に短縮できます。
ただし最終チェックは必ず税理士が
ここが大事なところです。AIが出す税務の説明は、一般的な内容としては悪くないのですが、個別の事情を踏まえた判断や、最新の制度変更には対応していないことがあります。
AIの知識には学習時点までという限界があり、税制改正のような最新情報は反映されていない場合があるんです。顧問先に送る前に、税理士本人が必ず内容を確認してください。
『AIがそう言っていたので』と顧問先に答えてしまうのは避けたいところです。回答の責任は税理士にある、という大前提は、どれだけAIを使っても変わりません。
当社でも、似た課題に取り組んだことがあります。
当社の事例(自社(Web集客事業))
課題:取引先とのチャット返信に時間がかかる
やったこと:過去500件超のやり取りから文体を学んだ返信案をAIが下書き。送信は必ず本人が確認してから
結果:31ルームを自動で巡回し、返信の下書きまで自動化(送信は人が判断)
書類整理・入力作業の負担を減らす
請求書・レシートのOCR化
紙の請求書やレシートを一枚ずつ手で入力する作業は、地味に時間がかかりますよね。OCR(文字を読み取ってデータ化する技術)を使ったクラウド会計ソフトの機能や、専用のAI-OCRサービスを使うと、この作業はかなり省力化できます。
freee、マネーフォワード クラウド、弥生会計といった主要なクラウド会計ソフトには、レシートをスマホで撮影するだけで日付・金額・取引先を読み取る機能が標準で付いています(2026年11月時点の目安です。各社の最新機能は公式サイトでご確認ください)。
読み取り精度は100%ではないので、「読み取られたデータを人が確認する」工程は残ります。ただ、ゼロから手入力するのと、読み取り済みのデータを確認するのとでは、かかる時間がまったく違います。
当社でも、似た課題に取り組んだことがあります。
書類の入力やデータ整理は、どの業種でも「本当はやりたくないけれどやらないと進まない」仕事の代表格です。ここをAIに任せられると、スタッフが顧問先への提案やコミュニケーションに時間を使えるようになります。
情報の扱いには注意が必要です
顧客データをAIに入れる前に確認すること
税理士には税理士法第38条で守秘義務が定められています。顧問先の決算情報や個人情報を、無料のAIチャットにそのまま貼り付けるのは避けたほうがいいです。
多くのAIサービスには、入力内容を学習に使わない設定(法人向けプラン、API経由の利用等)が用意されています。事務所で使うツールを選ぶ際は、この設定があるかどうかを必ず確認してください。
固有名詞や金額を伏せた「架空のケース」として相談する、という使い方も現実的です。例えば「A社」「売上1000万円程度」のように抽象化してからAIに聞けば、情報漏洩のリスクはかなり下がります。
事務所内でのルールづくり
スタッフが増えてくると、誰がどのAIツールをどう使っているか、事務所として把握しづらくなりますよね。
「顧問先の実名・実際の数字は入力しない」「使うツールは事務所で指定したものに限る」といった簡単なルールを、1枚の紙にまとめておくだけでも効果があります。日本税理士会連合会からもAI利用に関する注意喚起が出ているので、一度目を通しておくと安心です。
ルールを決めたら、繁忙期の前に一度スタッフ全員で確認する機会を作っておきましょう。
小さな事務所でもAI導入を始める進め方
まず一つの業務から試す
いきなり全部の業務をAI化しようとすると、うまくいきません。『どこから始めればいいんだろう』と悩む方が多いのですが、まずは一つの業務に絞るのがコツです。
おすすめは、面談メモの要約か、よくある質問への回答ドラフトのどちらかです。どちらも効果を実感しやすく、失敗しても顧問先への影響が小さいからです。
一つの業務で「思ったより楽になった」という実感を得られると、次の業務にも広げやすくなります。小さく始めて、効果を見ながら広げてみてください!
ツール選びの目安
税理士事務所で使われることが多いツールの例を、目安としてまとめました。料金・機能は変わりやすいので、最新情報は必ず各公式サイトで確認してください。
| 用途 | ツールの例 | 費用の目安(月額) |
|---|---|---|
| 面談の文字起こし・要約 | Otter.ai、Notta | 無料〜2,000円程度 |
| 回答のたたき台作成 | ChatGPT、Claude | 無料〜3,000円程度 |
| 請求書・レシートのOCR | freee、マネーフォワード クラウド、弥生会計 | 2,000〜5,000円程度 |
| 情報漏洩対策済みの法人利用 | 各社の法人向けプラン | 利用人数により変動 |
最初は無料プランやお試し期間で試してみて、事務所の業務に合うかどうかを確認するのが安全です。合わないと感じたら、別のツールに切り替えればいいだけの話です。
まとめ
税理士事務所のAI活用は、派手な自動化ではなく、面談メモ・税務相談の下書き・書類の入力といった、日々の手間を少しずつ減らすところから始まります。
大事なのは、AIに任せる部分と、税理士が必ず確認する部分を分けておくことです。守秘義務を守りながら、できる範囲で業務を楽にしていく。それがこの記事でお伝えしたかったことです!
当社では、Web広告の運用代行(手数料10%・月額最低5万円、税別)に加えて、AI導入支援(1業務10万円〜、顧問は月5万円〜、税別)も行っています。どこから手をつければいいか迷ったら、一度相談してみてください。

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