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賃貸管理の広告|管理受託1件の粗利から許容CPAと検索語句・地域設定を決める

賃貸管理の広告|管理受託1件の粗利から許容CPAと検索語句・地域設定を決める

「賃貸管理 広告」で調べている管理会社の多くは、入居者募集の広告ではなく、オーナーから管理を任せてもらう件数(管理受託)を増やしたいはずです。ここで検索広告を始めると、最初の1か月でだいたい同じ壁に当たります。問い合わせは来るのに、半分は入居者からの苦情や「管理費」の質問で、残りもワンルーム1戸のオーナーばかり。広告費に対して受託が増えない。この記事では、賃貸管理という商売の経済性を数字で分解し、1件の問い合わせにいくらまで払えるか、どの検索語句に予算を寄せるか、地域設定と計測をどう組むかを、運用の手順として書きます。

この記事の結論

  1. 01払える広告費は、管理手数料ではなく1オーナーの数年分の粗利から逆算する。家賃6.5万円×8戸・手数料5%のオーナーなら、問い合わせ1件に払える上限は約4.1万円。1戸のオーナーなら約5,100円で、桁が違う。
  2. 02検索語句は「地域名×管理会社」「管理会社の変更」「自主管理の悩み」「入居者の混入」の4つに分けて見る。CPAが安く見える語句ほど、受託1件あたりでは高いことがある。
  3. 03オーナーは物件の近くに住んでいるとは限らない。地域設定は「所在地のみ」と「関心も含む」をキャンペーンごとに使い分け、成果は問い合わせではなく面談・受託を広告に戻して数える。
目次

賃貸管理の広告で「数える地点」を先に決める

賃貸管理会社の広告は、相手が2種類います。部屋を探す入居者と、物件を持つオーナーです。この記事で扱うのはオーナー側、つまり管理受託を取りにいく広告です。入居者募集はポータルサイトの掲載が主戦場で、検索広告とは予算も指標も別物として管理します。

オーナー向けの検索広告で成果になるまでの流れは、次の4段です。

検索から問い合わせ、面談・査定、管理受託までの流れと、受託の結果を広告に戻す矢印を示した図
図1 賃貸管理の広告で数える地点。問い合わせで止めず、面談・受託の結果を広告に戻す。入居者の検索は入口で外す。

問い合わせ(CV)

フォーム送信・電話・LINE等の件数

広告の管理画面に最初に出る数字。入居者の連絡や営業電話も混ざる。

管理受託(本当の成果)

管理委託契約を結んだオーナー数×戸数

問い合わせから数か月かかる。広告費の判断はこちらで行う。

問い合わせから受託までは、面談や収支の査定、今の管理会社への解約予告を挟みます。管理委託契約の解約予告は「3か月前」などと定めている契約が多く、問い合わせから管理開始まで3〜4か月かかるのは珍しくありません。この時間差が、問い合わせの件数だけで運用すると失敗する原因になります。

1オーナーの粗利から、払える広告費を逆算する

まず商売の数字を置きます。以下は説明用の仮の数字です。御社の実数に置き換えて同じ計算をしてください。

月の管理手数料 = 家賃 × 戸数 × 入居率 × 手数料率

65,000円 × 8戸 × 95% × 5% = 24,700円(年296,400円)

年の粗利 = 管理手数料 × 粗利率60% + 付帯の粗利(更新事務・原状回復工事など)年90,000円 = 267,840円

管理手数料の相場は家賃の5%前後と言われますが、集金代行だけなら3%程度、業務範囲が広ければ5%を超えるなど幅があります。管理会社の収益は手数料だけでなく、更新事務手数料や原状回復・修繕工事の粗利、入居者募集の仲介手数料が乗るので、付帯収益を入れないと許容額を低く見積もりすぎます。逆に、付帯工事を外注に丸投げしている会社は粗利が薄いので、ここは自社の実数で入れます。

次に、何年分の粗利で考えるかです。管理契約は解約されない限り毎月続きます。年10%のオーナーが解約する前提で、期間ごとの累積粗利を出すとこうなります。

見る期間1オーナーの累積粗利広告に回す割合30%の時の
受託1件の許容費用(CPO)
3年約72.6万円約21.8万円
5年約109.7万円約32.9万円
10年約174.5万円約52.3万円

当社では、資金繰りに無理が出ない5年で置くことが多いです。受託1件に約32.9万円まで払えるなら、面談から受託までが25%、問い合わせから面談までが50%として、

許容CPA = 許容CPO × 面談率 × 受託率

329,049円 × 50% × 25% = 約41,100円(面談1件あたりなら約82,300円)

「問い合わせ1件に4万円」は、一般的なBtoCの感覚では高く見えます。ただ、賃貸管理は1件の受託が何年も粗利を生む商売なので、このくらいが計算上の上限になります。逆に言えば、CPA1万円台で喜んでいても、受託率が5%なら赤字です。

31万61万92万0か月12か月24か月36か月48か月60か月受託からの月数1オーナーの累積粗利(円)許容CPO 約33万円(5年粗利の30%)累積粗利
図2 8戸のオーナー1人の累積粗利(解約率年10%)。許容CPO約33万円は、受託から約15か月で回収できる計算。資金繰りの上では、この1年強の立て替えに耐えられるかが予算上限を決める。

戸数で、払える額は桁が変わる

同じ計算を所有戸数別にすると、差の大きさがよく分かります(家賃・手数料率などは上と同じ条件)。

オーナーの所有戸数年の粗利5年の累積粗利許容CPA(問い合わせ1件)
1戸(区分マンション)33,480円約13.7万円約5,100円
4戸133,920円約54.8万円約20,600円
8戸(アパート1棟)267,840円約109.7万円約41,100円
20戸669,600円約274.2万円約102,800円
所有戸数別の許容CPA(問い合わせ1件あたり)1戸のオーナー5,141円4戸のオーナー20,566円8戸のオーナー41,131円20戸のオーナー102,828円5年分の粗利×30%×面談率50%×受託率25%で計算(説明用の仮の数字)
図3 所有戸数別の許容CPA。1戸のオーナーと20戸のオーナーでは、払える額が約20倍違う。問い合わせを1件として数えている限り、自動入札はこの差を知らない。

「管理会社 変更」で検索してくる人には、区分マンション1戸を持つ会社員も、親から3棟を相続した地主も混ざっています。自動入札に「問い合わせ1件」を教えると、問い合わせしやすい人、つまり気軽に相談できる小口のオーナーを集めにいきます。フォームで所有戸数を必須にして、戸数に応じた価値を付けるのが基本の対策です。

問い合わせの価値 = 戸数 × 1戸あたり5年粗利 × 面談率 × 受託率

1戸あたり:137,104円 × 50% × 25% ≒ 17,100円 → 8戸なら約13.7万円、1戸なら約1.7万円

この値をコンバージョン値として送り、目標ROASで入札すると、自動入札は「戸数の多いオーナーが問い合わせしやすい検索」に寄っていきます。件数が少ない立ち上げ期は、まず値を付けて計測だけ始め、入札は上限CPCで人が見る、という順番でも構いません。

検索語句は4つの群に分けて、受託単価で比べる

賃貸管理の検索語句は、意図の違う4つの群に分かれます。月20万円ずつ使った場合を、説明用の数字で比べます。

語句の群(例)CPCCVRCPA面談率受託率受託1件あたり
地域名×賃貸管理会社
(○○区 賃貸管理会社)
450円3.5%12,857円55%30%約77,900円
管理会社の変更・見直し
(管理会社 変えたい)
700円3.0%23,333円60%35%約111,100円
自主管理の悩み
(自主管理 大変)
250円1.2%20,833円40%20%約260,400円
入居者の混入
(管理費/管理会社 対応 悪い)
180円0.6%30,000円30%15%約666,700円

CPAで並べると、地域名の群が最安で、次が自主管理の群です。受託1件あたりで並べると、自主管理の群は約26万円で、許容CPO約33万円ぎりぎりです。CPC250円と安く、問い合わせもそこそこ来るので、CPAだけ見ていると予算を寄せたくなる群です。

「管理費」「管理会社」は入居者の言葉でもある

賃貸管理でいちばん多い無駄打ちがこれです。入居者が家賃と一緒に払う「管理費(共益費)」と、オーナーが管理会社に払う「管理手数料(管理委託料)」は、検索窓では同じ「管理費」になります。さらに「管理会社 電話 つながらない」「退去 立ち会い 管理会社」のように、入居者が今の管理会社に困っている検索は、インテントマッチで「管理会社 変更」から簡単に拾われます。

見分け方は、検索語句レポートの語句に入居者の行動(退去・更新料・鍵・騒音・エアコン故障)が含まれるかどうかです。広告文の1行目に「オーナー様向け」と入れて入居者のクリックを減らし、実際に入居者の語句でクリックが出ているのを確認してから除外します。先回りで大量に除外すると、「相続したアパート 管理 どうする」のようなオーナーの検索まで落とします。

「サブリース」系の語句は扱いを分ける

「サブリース 解約」「一括借り上げ やめたい」は、サブリース契約から抜けて管理委託に切り替えたいオーナーの検索で、受託につながると戸数が大きいことが多い群です。一方で、自社がサブリース(特定賃貸借)を提供している場合は、広告の表示に法律の制限がかかります(後の章で書きます)。同じキャンペーンに混ぜず、広告文とLPを分けます。

広告文は、群ごとに「最初に知りたいこと」を変える

4つの群は、検索した人が最初に知りたいことが違います。同じ広告文を全部に出すと、どの群にも中途半端になります。見出しの1本目に何を置くかを、群ごとに決めます。

  • 地域名×賃貸管理会社:管理エリアの市区町村名と管理戸数。「○○区のアパート管理」「管理戸数○○戸」のように、地域で探していることへの答えを先に出す。
  • 管理会社の変更・見直し:切り替えの手間と期間。「解約予告の確認から引き継ぎまで代行」「入居者への通知も当社で」のように、変えたいけれど面倒だという不安に答える。今の管理会社の悪口は書かない。
  • 自主管理の悩み:手数料率と、任せられる業務の範囲。自分でやるのと比べてお金がいくら出ていくかを知りたい層なので、「手数料は家賃の○%」と数字で書く。
  • サブリースからの切り替え:家賃の受け取り方がどう変わるか。サブリースの保証賃料と、管理委託にした時の家賃収入の差を試算できることを書く。

広告文の効果は、クリック率ではなく面談に進んだ割合で比べます。オーナーは複数社をクリックして比べるので、クリック率が高い広告文が、問い合わせの多い広告文とは限りません。広告文ごとの面談率は、クリックIDで顧客管理ツールとつなげば集計できます。

地域設定は「オーナーがどこに住んでいるか」で決める

賃貸管理は地域密着の商売なので、配信地域を管理エリアに絞るのが定石だと思われています。ただ、物件の所在地とオーナーの住所は一致しないことがよくあります。地方の実家のアパートを相続して都内に住んでいる人、転勤で持ち家を貸している人、投資用に他県の1棟を買った人。こうしたオーナーは、物件のある市区町村の外から「○○市 賃貸管理会社」と検索します。

Google広告の地域設定には、「所在地」(ターゲット地域にいる、または定期的に訪れる人)と、「所在地または関心」(ターゲット地域に関心を示している人も含む)の2つの選択肢があります。当社は次のように分けます。

  • 地域名を含む語句のキャンペーン:「所在地または関心」を使い、配信地域を全国または広めにする。検索語句に地域名が入っているので、遠方のオーナーでも管理エリアの物件の話と分かる。
  • 地域名を含まない語句のキャンペーン(管理会社 変更、自主管理 大変 など):「所在地」だけにして、管理エリアと周辺に絞る。全国に出すと、対応できない地域の物件の相談が混ざる。

判断の材料は、問い合わせフォームで「物件の所在地」と「お住まいの地域」を別々に聞いて集計することです。物件はエリア内、住まいはエリア外、という問い合わせが2割を超えるなら、地域名の語句を遠方に広げる価値があります。

時間帯と、問い合わせの受け方

オーナーの問い合わせは電話が多く、平日の日中に受けられないと面談に進みません。ある受託先(来店・訪問型サービス)で時間帯ごとの実績と問い合わせデータを突き合わせたところ、20時以降は電話受付外で費用対効果がゼロ、8〜19時は時間帯による差がない、という結果でした。賃貸管理でも同じ確認をする価値があります。

  • 電話番号アセットは受付時間だけに出す。夜間はフォームへ誘導する広告文に切り替える。
  • 夜間・休日のフォーム問い合わせに、翌営業日の何時までに折り返すかを決めて、LPに書く。
  • 時間帯別の評価は、問い合わせの件数ではなく、面談に進んだ割合で見る。夜間のフォームは、件数は少なくても戸数が多いオーナーが混ざることがある。

計測:受託を広告に戻すまでの設計

許容CPAを4万円に置く運用は、問い合わせの質が見えていないと成り立ちません。最低限、次の3つを用意します。

① クリックIDと戸数を顧客管理に残す

フォームの隠し項目で広告のクリックID(gclid等)を受け取り、問い合わせごとに顧客管理ツールへ保存します。電話の問い合わせは、コールトラッキングで番号を分けるか、受電時に「何を見て電話したか」を聞いて記録します。戸数と物件所在地も同じ行に入れておきます。

② 戻すのは「面談」と「受託決定」

Google広告のオフラインコンバージョンは、クリックから90日以内の成果しか取り込めません。問い合わせから管理開始まで3〜4か月かかる場合、管理開始日で戻すと期限切れになります。管理委託契約を結んだ日(受託決定)で戻し、その手前の面談も別のコンバージョンとして戻します。入札に使うのは件数が足りる方で、目安は月30件前後です。賃貸管理では受託が月30件に届く会社は少ないので、多くの場合は「面談」に戸数の価値を付けて学習させ、受託は観測用にします。

③ 入居者の問い合わせを成果から外す

フォームに「オーナー様/入居者様」の選択を入れ、入居者を選んだ送信はコンバージョンとして数えない設定にします。これだけで、CPAの数字は悪化して見えますが、それが本当の数字です。

賃貸管理の広告で守るべき法律

広告文とLPで確認すること

  • 賃貸住宅管理業法の登録:管理戸数200戸以上の管理業者は国土交通大臣の登録が必要です。登録番号をLPのフッターや会社概要に出しておくと、比較中のオーナーが確かめられます。
  • サブリースの誇大広告の禁止(同法28条):特定賃貸借(サブリース)の広告で、オーナーに支払う家賃・維持保全の方法・契約の解除などについて、事実と著しく異なる表示や、実際より著しく有利と誤認させる表示は禁止されています。「家賃保証」「30年一括借り上げ」を書くなら、家賃の見直しで減額されうること(借地借家法32条の減額請求を含む)を近くに書きます。
  • 管理料の安さの表示(景品表示法):「管理料0円」「他社より安い」のような表示で、別名目の手数料(更新事務・入居者募集の広告料など)を取る場合は有利誤認のおそれがあります。手数料に含まれる業務と、別料金の業務を表で並べます。
  • 実績の数字:「入居率98%」などは、いつ時点・何戸が分母か・空室の定義をLPに注記します。根拠を示せない数字は広告文に使いません。

国土交通省は、サブリースの広告で禁止される表示の具体例を「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」で示しています。広告文を作る前に一度目を通し、使いたい表現が例に当たらないかを確かめます。

LPに置く情報は「比較表の材料」

管理会社を探しているオーナーは、複数社に問い合わせて比べます。LPは「感じの良さ」ではなく、比較表に書き写せる数字をそろえる場所です。

  • 管理手数料率と、その中に含まれる業務(集金・督促・入居者対応・定期巡回・退去立会い)。別料金の業務と金額。
  • 管理戸数・管理エリア(市区町村まで)・担当者1人あたりの戸数。
  • 空室期間の実績(募集開始から申込みまでの日数の中央値など。定義を明記)。
  • 今の管理会社からの切り替え手順と期間(解約予告の確認、入居者への通知、敷金・鍵の引き継ぎ)。
  • 収支シミュレーションの入力フォーム(戸数・家賃・空室数)。これを問い合わせの入口にすると、戸数を自然に聞ける。

現場で使っているチェックリスト

  1. 許容CPAを、管理手数料ではなく付帯収益を含む数年分の粗利から逆算しているか
  2. 問い合わせフォームで、所有戸数・物件所在地・お住まいの地域を聞いているか
  3. 戸数に応じたコンバージョン値を付けているか
  4. 検索語句を4つの群に分け、受託1件あたりの費用で比べているか
  5. 入居者の検索(管理費・退去・更新料など)のクリックを、検索語句レポートで確認しているか
  6. 入居者の問い合わせを、コンバージョンから外しているか
  7. 地域名を含む語句と含まない語句で、地域設定(所在地/関心)を分けているか
  8. 電話番号アセットの表示を、電話の受付時間に合わせているか
  9. 面談・受託決定を、クリックから90日以内にオフラインで戻せる流れになっているか
  10. サブリース・管理料・実績の表示が、賃貸住宅管理業法と景品表示法に照らして問題ないか確認したか

まとめ

賃貸管理の広告は、1件の受託が何年も粗利を生む一方で、問い合わせには入居者と小口のオーナーが大量に混ざる商売です。CPAだけで運用すると、安い問い合わせを集める方向に寄っていきます。

やることは3つです。払える額を戸数と粗利から逆算すること、検索語句を受託単価で比べること、面談と受託を広告に戻すこと。この3つがそろえば、問い合わせ1件に4万円払う判断にも根拠が持てます。

予算運用(リスティング広告の運用代行)

御社の「受託1件にいくら払えるか」を、一緒に計算しませんか。

当社の予算運用では、管理受託の粗利から許容CPAを逆算し、検索語句の整理から面談・受託のデータを広告に戻す計測までまとめて担当します。運用手数料は広告費の10%(月額最低5万円・税別)。最初の60分の無料相談では、サービスの案内はせず、御社の数字を一緒に見ます。

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この記事を書いたチーム株式会社Acquizeの運用チーム。自社でもWeb広告で集客する事業を運営しながら、受託先の予算運用を担当しています。記事中の考え方は、実際の運用で使っているものです。

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