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英会話スクールの広告は継続月数から逆算する|コース別の入会単価と時間帯・キーワード設計

英会話スクールの広告は継続月数から逆算する|コース別の入会単価と時間帯・キーワード設計

「体験レッスンの予約単価は下がったのに、入会が増えない」「マンツーマンを推した月ほど、半年後の在籍が減っている」。英会話スクールの広告の相談で、よく聞く話です。原因はたいてい、体験予約までしか見ずに、入会と継続を広告の判断に入れていないことです。英会話は月謝で続く商売なので、広告の価値は「何人入ったか」ではなく「入った人が何か月続くか」で決まります。この記事では、コース別の継続月数から入会1件の上限を出し、キーワード・時間帯・計測をそろえる手順を、計算式と数字で書きます。

この記事の結論

  1. 01入会1件の上限は「継続月数×月謝×限界利益率×広告に回す割合」で出す。説明用の例では、月謝が一番安いキッズが約6.6万円で、月謝が2倍のマンツーマン(約5.6万円)より高い。
  2. 02大人の検索は夜に集まる。電話でしか予約を受けていないと、20時以降の広告費はそのまま無駄になる。Web予約を入れるだけで、同じ広告費で体験予約単価が約14,000円から約8,100円に下がる例もある。
  3. 03「英会話」の1語や「オンライン英会話」は、通学型のスクールでは入会単価が上限の2倍近く〜4倍になりやすい。地域・対象・目的を含む語句から順に予算を使う。
目次

英会話スクールの収支を、広告の言葉に置き換える

まず言葉をそろえます。英会話スクールの広告で、管理画面に出る成果はたいてい「体験レッスンの予約」です。ただし、事業として意味があるのは、その先の入会と継続です。

体験予約単価

広告費 ÷ 体験レッスンの予約数

管理画面で毎日見える数字です。来校しなかった人、入会しなかった人も1件として数えています。

入会単価

広告費 ÷ 広告経由の入会者数

判断に使う数字です。上限は、その人が退会するまでに払う月謝から逆算します。

入会した人が平均何か月続くかは、毎月の退会率から出せます。毎月c%が辞めるなら、k か月目まで残っている割合は (1 − c)k です。

期待継続月数 = Σ (1 − 月の退会率)k (k=0〜35。3年で打ち切る)

入会1件の上限 = 期待継続月数 × 月謝 × 限界利益率 × 広告に回す割合

体験予約1件の上限 = 入会1件の上限 × 来校率 × 入会率

3年で打ち切るのは、それ以上先の売上を広告の判断に入れると、上限が甘くなりすぎるからです。3つのコースで計算した例です(数字は説明用に整えたもので、スクールの立地や価格帯で大きく変わります)。

コース月謝月の退会率期待継続月数限界利益率入会1件の上限体験予約1件の上限
大人グループ(週1回)13,200円6%14.9か月70%約55,000円約16,500円
大人マンツーマン(週1回)26,400円8%11.9か月45%約56,400円約16,900円
キッズ(週1回)9,900円2.5%23.9か月70%約66,300円約19,900円

広告に回す割合は40%、来校率75%・入会率40%で置いています。体験予約1件の上限は、入会1件の上限の30%(0.75×0.40)です。

月謝が一番高いマンツーマンは、入会1件の上限で見るとグループとほぼ同じです。理由は2つで、講師1人が生徒1人に付くのでレッスンごとに講師の給与が発生し、限界利益率が低いこと。もう1つは、月謝が高いぶん、仕事の繁忙期や目的の達成で辞める人が多く、継続月数が短いことです。グループは、すでに開講しているクラスの空き枠に入る限り、講師の給与は増えません。

継続率の差が、広告の上限を決める

表の差は、継続率の曲線で見るとよく分かります。

25%50%75%100%0か月6か月12か月18か月24か月30か月36か月入会からの月数続けている人の割合(%)キッズ大人グループマンツーマン
図1 入会からの月数ごとの、続けている人の割合(説明用の数字)。12か月後に残っているのは、キッズが約74%、大人グループが約48%、マンツーマンが約37%。広告で払える上限の差は、この曲線の下の面積の差でほぼ決まる。

キッズは月謝が一番安いのに、上限が一番高くなります。子どもの習い事は、保護者が「とりあえず1年は続けさせる」と決めることが多く、辞めるタイミングが進級・進学の節目に集まるからです。逆に大人は、入会直後の3か月に辞める人が多い。大人のコースの継続率を上げる施策(入会後3か月の面談、レベル別のクラス替え)は、広告で払える上限を直接上げる施策でもあります。

この計算で外していること

  • 入会金・教材費は入れていません。入会金無料のキャンペーンをしている時期があるなら、入れない方が安全です。
  • 退会率は一定で置いていますが、実際は入会後3か月が高く、その後は下がるのが普通です。自校の在籍データで「入会月ごとに何か月目に何%残っているか」を出し、その実績で計算し直してください。
  • キッズの兄弟入会・大人の紹介は入れていません。実績があるスクールは上乗せできます。

大人の検索は夜に集まる。予約を受けられているか

働いている大人が英会話を探すのは、仕事が終わった後の夜です。ここで多くのスクールが損をしているのが、体験レッスンの予約を電話でしか受けていないケースです。受付が20時までなら、20時以降に広告を見た人は、その場で予約ができません。

当社が担当したある受託先(来店・訪問型サービス)では、時間帯ごとの実績と問い合わせデータを突き合わせたところ、20時以降は電話受付外で費用対効果がゼロ、8〜19時は時間帯による差がない、ということが分かりました。英会話スクールでも同じことが起きます。クリック単価250円、月の広告費160万円の例で見てみます(説明用の数字)。

時間帯クリック広告費電話受付のみの予約Web予約を入れた後の予約Web予約後の予約単価
8〜12時900225,000円27.0件27.0件約8,300円
12〜17時1,300325,000円39.0件39.0件約8,300円
17〜20時1,500375,000円48.0件48.0件約7,800円
20〜23時2,100525,000円0件71.4件約7,400円
23〜8時600150,000円0件12.0件12,500円
合計6,4001,600,000円114件(約14,000円)197.4件(約8,100円)-
Web予約を入れた後の、時間帯別の体験予約単価8〜12時8,333円12〜17時8,333円17〜20時7,812円20〜23時7,353円23〜8時12,500円電話受付だけの時は、20時以降の予約は0件(広告費67.5万円がそのまま無駄)
図2 Web予約を入れた後の、時間帯別の体験予約単価(説明用の数字)。電話受付だけの時は、クリックが一番多い20〜23時の予約が0件で、広告費の4割強がそのまま無駄になっていた。

電話受付だけの時、20時以降の広告費67.5万円は予約を1件も生んでいません。打ち手は2つあります。

  • 広告のスケジュールで20時以降を止める:無駄な67.5万円は消えます。ただし、クリックが一番多い時間帯をまるごと捨てることになります。
  • Web予約(空き枠から日時を選べるフォーム)を入れる:同じ広告費で予約が114件から約197件に増え、予約単価は約14,000円から約8,100円に下がります。深夜帯は予約単価が高いので、入札を下げる調整を足します。

曜日も同じ見方をします。土日は予約が入りやすい一方で、平日夜のクラスを探している人の予約は日曜の夜に集中しがちです。曜日×時間帯の表を4週間分作り、予約の件数が少ないマス(例えば2件未満)は、件数のぶれが大きいので単価で判断せず、隣の時間帯とまとめて見ます。入札の調整は、1回に±20%程度までにして、2週間ごとに見直します。

判断の順番は「まず予約を受けられる状態にして、そのうえで時間帯別の単価を見て入札を調整する」です。受けられない時間帯の実績で「夜は効かない」と判断しないことが大事です。

キーワードは「入会単価」で比べる

英会話の検索には、通学型のスクールにとって相性の悪い語句が大量に混ざっています。代表が「英会話」の1語と「オンライン英会話」です。検索結果の上位をオンラインの大手サービスが占めていて、検索している人の多くは「家で安く続けられるもの」を探しています。

キーワードの型クリック単価体験予約率体験予約単価来校率入会率入会単価
地域+英会話
(英会話 ○○駅)
280円5.0%5,600円80%45%約15,600円
対象+地域
(英会話教室 大人 ○○市)
250円4.5%約5,600円80%45%約15,400円
子ども+地域
(子供 英会話 ○○市)
200円5.0%4,000円85%55%約8,600円
目的のみ
(ビジネス英会話)
350円1.5%約23,300円65%35%約102,600円
1語
(英会話)
220円1.2%約18,300円60%30%約101,900円
オンライン英会話180円0.6%30,000円50%25%240,000円

地域を含む語句の入会単価は約8,600〜15,600円で、どのコースの上限(約5.5〜6.6万円)にも十分収まります。一方で「ビジネス英会話」「英会話」の1語は約10万円で、上限の2倍近く。オンライン英会話は24万円で、上限の4倍前後です。

ただし、これで1語の「英会話」をすぐ止めるのは早すぎます。インテントマッチ(旧・部分一致)で入れた1語のキーワードは、実際には「英会話 ○○駅 大人」のような地域を含む検索も拾っています。キーワード単位ではなく、検索語句レポートで地域・対象を含む語句と含まない語句に分けて入会単価を出し、含まない側が上限を超えているかで判断します。地域の語を含まない検索でも、「所在地」の設定で通える範囲の人だけに出していれば、入会単価は表の数字より下がります。

通える範囲は「自宅」と「職場」の2つ

大人の受講生は、自宅の近くだけでなく、職場の近くや乗り換え駅のスクールにも通います。地域の設定を自宅の商圏だけで切ると、仕事帰りに通う層を落とします。地域の設定は「所在地(ターゲット地域に所在地がある、または定期的に訪れているユーザー)」にして、スクールの最寄り駅から電車で20〜30分の範囲を基本に、配信後に地域別の入会単価で絞ります。キッズは保護者の送迎範囲なので、半径2〜3km程度の狭い設定で別キャンペーンにします。

大人・キッズ・目的別で、キャンペーンとLPを分ける

図1のとおり、大人とキッズでは上限が違い、検索する人(本人か保護者か)も違います。キャンペーンは少なくとも大人とキッズで分け、LPも分けます。大人向けのLPには、平日夜と土日の時間割・振替のルール・Web予約の空き枠を、キッズ向けには送迎の範囲・クラスの年齢分け・保護者の見学の可否を載せます。

入会と継続を広告に戻す計測

ここまでの判断は、どの広告から来た体験予約が入会し、何か月続いたかが分かって初めてできます。英会話スクールは体験から入会まで1〜2週間、継続が分かるのはさらに数か月後なので、管理画面の体験予約の数だけでは判断できません。

広告クリックから体験予約・来校・入会・12か月の継続までの流れと、管理画面で見える範囲を示した図
図3 管理画面で見えるのは体験予約まで。広告の価値は、その先の来校・入会・継続で決まる。
  • クリックIDを予約と一緒に残す:予約フォームの隠し項目で広告のクリックID(gclid等)を受け取り、受講生の台帳に保存します。外部の予約システムを使う場合は、予約システム側でパラメータを受け取れるか、予約完了の画面で計測タグが動くかを先に確かめます。
  • 来校と入会をオフラインのコンバージョンとして戻す:台帳で「来校した」「入会した」に変わった予約を、クリックIDと一緒に毎日広告へ戻します。
  • 入会にコース別の価値を付ける:入会1件の上限に比例した価値(キッズ66,300円・マンツーマン56,400円など)を付けて戻すと、目標ROASの入札でコースごとの重みを付けられます。
  • 3か月後の継続を見る:入会月ごとに、3か月後に残っている割合をキャンペーン・キーワードの型別に出します。入会単価が同じでも、3か月で辞める人が多い流入元は、実際の価値が低いということです。

自動入札に何を学習させるかは件数で決めます。入会が月に数件しかないスクールでは、入会だけでは学習の材料が足りません。その間は来校を学習させ、入会と継続は観測用に置きます。体験予約を学習させると、予約だけして来ない人に入札が寄っていきます。この問題はMCVで学習させるリスクの記事で詳しく書いています。

英会話スクールの広告とLPで注意する表示

英会話スクールは、景品表示法に加えて、特定商取引法の「特定継続的役務提供(語学教室)」の対象になることがあります。

表示で確認しておきたい点

  • 効果をうたう表示:「3か月で話せる」「TOEICが○点上がる」のような効果の表示は、景品表示法の不実証広告規制の対象になりえます。消費者庁から根拠の提出を求められ、期限内に合理的な根拠を出せないと、不当表示とみなされます。実績を書くなら、対象者・期間・条件・平均値か最大値かを明記します。
  • 講師の表示:「講師は全員ネイティブ」と書くなら、本当に全員である必要があります。一部の講師だけなら「ネイティブ講師在籍」のように、実態と合う書き方にします。
  • 割引前の価格の表示:「通常○円が今だけ○円」と書く場合、比べる価格で実際に販売していた実績が必要です。販売実績のない価格を「通常価格」として並べると、有利誤認のおそれがあります。
  • 特定継続的役務提供の対象になる契約:語学教室は、期間が2か月を超え、入会金・受講料・教材費などの総額が5万円を超える契約が対象です。契約書面を受け取ってから8日間はクーリング・オフができ、その後も中途解約ができます。解約時に請求できる額の上限は、レッスン開始前は1万5,000円、開始後は「提供済みのレッスンの対価」に「5万円か契約残額の20%の低い方」を足した額です。まとめ払いのコースを広告で打ち出す時は、この内容と矛盾しない書き方にします。
  • 教育訓練給付制度:厚生労働大臣の指定を受けた講座なら、一般教育訓練給付で受講費用の20%(上限10万円)が支給されます。指定を受けていないコースで「給付金が使える」と書いたり、雇用保険の加入期間などの条件を書かずに「20%戻る」とだけ書いたりしないようにします。

英会話スクールの広告で実際に起きる落とし穴

体験予約単価が下がったのに、入会が減る

「体験レッスン無料」「予約で特典」を強く打ち出すと、体験予約単価は下がります。ところが、特典目当ての予約や、オンラインと比べている最中の人が増えて、来校率と入会率が下がります。週次のレポートには、体験予約単価と並べて、必ず来校率・入会率・入会単価を載せます。

予約完了を二重に数えている

外部の予約システムを使っていると、予約完了の画面を再読み込みしたり、確認メールのリンクから戻ったりした時に、コンバージョンがもう1回計上されることがあります。予約の件数を台帳の予約数と週1回突き合わせて、管理画面の方が多ければタグの発火条件を見直します。

マンツーマンの入会を増やすほど、講師の枠が足りなくなる

マンツーマンは講師1人の時間を1人の生徒が使うので、人気の時間帯(平日19〜21時)の講師の枠がすぐ埋まります。枠が埋まった状態で広告を出し続けると、体験は取れても希望の時間に入れず、入会率が下がります。グループと同じく、空いている枠の数を予算の天井にして、枠が少ない時はグループのコースを中心に出します。

子ども向けの検索を大人のLPで受けている

「子供 英会話 ○○市」で検索した保護者が、大人の時間割が並ぶLPに着地すると、ほとんど予約しません。キャンペーンを分けていても、広告グループの最終URLが共通のままになっていることがあるので、キーワードの型とLPの対応を一覧にして確認します。

現場で使っているチェックリスト

  1. 入会1件の上限を、コース別の継続月数と限界利益率から出しているか
  2. 継続率を、自校の在籍データで入会月ごとに出し直しているか
  3. 20時以降・深夜もWebで体験予約を受けられる状態になっているか
  4. 広告のスケジュールを、予約を受けられない時間帯の実績で判断していないか
  5. キーワードを、体験予約単価ではなく入会単価で比べているか
  6. 1語・オンライン系の語句を、検索語句レポートで地域を含む/含まないに分けて評価しているか
  7. 地域の設定を「所在地」にし、職場の近くから通う人も入る範囲にしているか
  8. 大人とキッズで、キャンペーン・LP・入札の上限を分けているか
  9. クリックIDを残し、来校と入会を毎日広告に戻しているか
  10. 効果の表示・講師の表示・割引前価格・給付金の表示を、根拠と照らして確認したか

まとめ

英会話スクールの広告の価値は、体験予約の数ではなく、入会した人が何か月続くかで決まります。コース別の継続月数から上限を出し、予約を受けられる時間を広げ、キーワードを入会単価で比べる。この3つをそろえるだけで、同じ広告費でも残る受講生の数は大きく変わります。

そのためには、どの広告から来た人が入会し、何か月続いたかを、広告に戻す仕組みが要ります。最初につなぐ手間はかかりますが、一度つないでしまえば、予算や時間帯の判断を毎月同じ手順で繰り返せます。

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この記事を書いたチーム株式会社Acquizeの運用チーム。自社でもWeb広告で集客する事業を運営しながら、受託先の予算運用を担当しています。記事中の考え方は、実際の運用で使っているものです。

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