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ピラティスの広告はマシンの台数から逆算する|体験予約の上限単価と予約システムの計測

ピラティスの広告はマシンの台数から逆算する|体験予約の上限単価と予約システムの計測

マシンピラティスのスタジオで広告の相談を受けると、最初に聞くのは「リフォーマーは何台ありますか」です。広告費やキーワードの話はその後です。マシンピラティスは1クラスに入れる人数がマシンの台数で決まるので、広告でいくら体験予約を集めても、受け入れられる会員数には天井があります。この記事では、台数と営業時間から会員数の上限と損益分岐を出し、そこから「月に何人入会させればよいか」「広告費はいくらまで意味があるか」を逆算する方法と、競合の多い検索市場での入札、外部の予約システムを使う時の計測、体験予約率を上げるLPの検証までを、計算例と実際の検索データで書きます。

この記事の結論

  1. 01会員数の上限は「台数×1日のクラス数×営業日数×稼働率÷1人の月の利用回数」。6台なら約265人。定員まで埋まった後に必要な入会は、月に「上限×退会率」人だけで、広告費の上限もそこで決まる。
  2. 02「ピラティス 体験」の上部入札単価(高額帯)は2,090円で、大手の体験獲得の競争が強い。「近く」「地域名」の検索を、所在地で絞った配信で取る方が単価は安く、検索数も1年で3倍以上に増えている。
  3. 03外部の予約システムを使うと、広告のクリックIDが予約データに残らず、入会の単価が見えなくなる。クロスドメインの設定か、クリックIDの受け渡しを先に作ってから、入札とLPの改善に入る。
目次

マシンの台数から、会員数の上限を出す

マット中心のヨガやピラティスと違い、マシンピラティスはリフォーマーなどの台数がそのままクラスの定員になります。少人数のグループクラスで定員4〜8名、という形が多く見られます。ここから、受け入れられる会員数を計算します。

月の席数 = 台数 × 1日のクラス数 × 月の営業日数

会員数の上限 = 月の席数 × 稼働率の上限 ÷ 会員1人の月の利用回数

6台 × 7クラス × 26日 = 1,092席 → 1,092 × 85% ÷ 3.5回 = 約265人

稼働率の上限を85%にしているのは、平日昼の枠は埋まりにくく、夜と週末の枠は予約が取れない状態になりやすいからです。月4回のプランでも、実際の利用は平均3.5回前後に落ち着くことが多いので、ここでは3.5回で計算しています(数値は説明用の前提です)。

台数月の席数使える席(85%)会員数の上限上限を保つのに必要な入会(退会率5%)
4台728席619席約177人月約8.9人
6台1,092席928席約265人月約13.3人
8台1,456席1,238席約354人月約17.7人

右端の列が大事です。定員まで埋まったスタジオで必要な新規入会は、退会した分を埋める人数だけです。6台・退会率5%なら月13人ほど。それ以上の入会を広告で集めても、予約が取れない会員が増えて、かえって退会を早めます。

損益分岐と、必要な入会数を逆算する

次に、損益分岐の会員数です。月4回のマシングループの料金は、公開されている料金表では月1万円台前半から後半の例が多く、例えば大手スポーツクラブ系の少人数クラス(最大4名)で月4回11,330円(会員価格・税込)という例があります。ここでは説明用に、月会費13,000円(税抜)・限界利益率85%・固定費月180万円(家賃・マシンのリース・インストラクターの固定給)で計算します。

損益分岐の会員数

固定費 ÷ 会員1人の限界利益

1,800,000円 ÷(13,000円×85%)= 約163人。これを下回る月は赤字です。

会員数の落ち着き先

毎月の入会数 ÷ 月の退会率

毎月20人入会し、毎月5%が退会するなら、会員数は400人に向かって増えていく。定員がそれより小さければ、定員で頭打ちになる。

毎月の入会数ごとに、開業からの会員数の推移を計算するとこうなります。

1002003000か月6か月12か月18か月24か月開業からの月数会員数(人)損益分岐 163人
図1 毎月の入会数ごとの会員数の推移(退会率5%)。灰の点線は月10人、青は月15人、橙は月20人、黒の点線は6台の定員の上限265人。月10人では2年たっても損益分岐の163人に届かない。
毎月の入会12か月後24か月後損益分岐に届く時期必要な体験予約(月)広告費の目安(体験予約1件8,000円)
10人約92人約142人届かない(落ち着き先200人だが2年では未達)約28件約22万円
15人約138人約212人16か月目約42件約33万円
20人約184人定員265人11か月目約56件約44万円

必要な体験予約は、来店率80%・体験からの入会率45%で割り戻しています(入会÷0.8÷0.45)。マシンピラティスは体験の満足度が高く入会率が高めに出やすい一方、料金が高いので「持ち帰って考える」人も一定数います。御社の実績の数字に置き換えてください。

この表から分かるのは、開業から1年は月20人ペースで入会を取り、定員に近づいたら月13人ペースまで広告を絞る、という予算の形です。毎月同じ予算で回すより、立ち上げに広告費を寄せた方が、早く損益分岐を越えて累計の赤字も小さくなります。

体験予約1件に払える上限 = 限界利益 ÷ 退会率 × 広告に回す割合 × 来店率 × 入会率

11,050円 ÷ 5% × 30% × 80% × 45% = 約23,900円

上限は約23,900円あるので、体験予約1件8,000円は十分に採算が合います。ただし、これは定員に空きがある間の話です。定員が埋まった後に取った入会は、既存会員の予約を圧迫するだけで、追加の利益を生みません。上限単価は、定員の空き具合で変わると考えておきます。

ピラティスの検索市場を、数字で見る

Googleのキーワードプランナーで全国の月間検索数(2025年10月〜2026年9月の平均)を見ると、「ピラティス」は月45万回、「マシンピラティス」は月9万回あります。検索全体が大きい分、競合も多い市場です。上部に表示するための入札単価(高額帯)を並べると、体験の語に入札が集中しているのが分かります。

ページ上部入札単価(高額帯)ピラティス 体験2,090円マシンピラティス 体験1,760円ピラティス 新宿850円ピラティス 横浜630円ピラティス 近く560円マシンピラティス451円ピラティス スタジオ433円パーソナルピラティス428円ピラティス 教室341円Googleキーワードプランナー・全国・2025年10月〜2026年9月
図2 ピラティス関連の語のページ上部入札単価(高額帯)。「体験」を含む語は1,700〜2,100円で、「近く」「教室」「スタジオ」の約3〜6倍。

「ピラティス 体験」の2,090円は、来店型の習い事の検索としてはかなり高い水準です。全国展開のスタジオが、開業ラッシュの中で体験予約を取り合っていることの表れです。小さなスタジオが同じ語で上位を取りにいくと、体験予約1件の単価がすぐに1万円を超えます。

一方で、伸びているのが「近く」と地域の検索です。月別に見ると、変化の大きさが分かります。

キーワード2025年10月2026年9月12か月の平均上部入札単価(高額帯)
ピラティス 近く2,9009,9004,400560円
パーソナルピラティス8,1009,900(3〜4月は18,100)12,100428円
ピラティス 男性2,9003,600(1月は6,600)3,600384円
ピラティス 体験1,9002,4002,4002,090円
ピラティス 資格6,6004,4005,400非会員(指導者を目指す人)

「ピラティス 近く」は1年で約3.4倍に増え、入札単価は「体験」の4分の1強です。「近く」で検索する人は、すでにスタジオを選ぶ段階にいて、通える距離のスタジオを探しています。地域を所在地で絞った配信なら、「近く」の検索は自分のスタジオの商圏の人だけに出るので、小さなスタジオでも大手と同じ土俵に立てます。

キーワードは、「ピラティス」「マシンピラティス」の1語をインテントマッチ(旧・部分一致)で入れ、地域の設定で商圏に絞るのが基本です。「パーソナルピラティス」「ピラティス 男性」のように、提供しているレッスンと合う語は、広告文をその人向けに変えるために広告グループの中で見出しを用意しておきます。「ピラティス 資格」は指導者を目指す人の検索で、会員にはなりにくいので、配信後の検索語句で費用が出ていたら除外します。

季節の山は1月と3〜5月

「ピラティス」の月間検索数は、2026年1月が55万回で、2025年12月の30.1万回の約1.83倍でした。3〜6月も45万回の高い水準が続き、「パーソナルピラティス」は3〜4月に18,100回と、12か月平均の約1.5倍になります。年明けと新年度は、体験予約が増えるのと同時に、全国チェーンも予算を上げてくる時期です。この山の時期に体験の枠が足りているかを、1か月前に予約システムで確認しておきます。定員に余裕のあるスタジオは山の月に予算を寄せ、定員が近いスタジオは、山の月でも退会を埋める分だけに抑えます。

大手と競るのは、価格ではなく「予約の取りやすさ」

Google広告の「オークション分析」を開くと、同じ検索で広告が出ている競合と、インプレッションシェア・上位掲載率を比べられます。地域を絞っているのに大手が毎回上に出ている場合、入札で上を取りにいくより、広告文で大手が書けないことを書く方が効きます。例えば「定員4名・同じ講師が毎回担当」「夜21時台のクラスあり」「振替は前日まで無料」のような、予約の取りやすさと継続のしやすさです。競合のスタジオ名を広告文に入れるのは、商標の申し立てで不承認になるおそれがあるのでやめます。

外部の予約システムを使う時の計測

ピラティスのスタジオは、体験予約を外部の予約システムで受けていることが多く、ここで計測が切れているケースがとても多いです。広告をクリックした人が自社のLPから予約システムのページに移ると、ドメインが変わり、広告のクリック情報が引き継がれません。

広告クリックから自社LP、外部の予約システム、来店・入会の記録を経て、Google広告にオフラインCVで戻す流れ
図3 自社のLPから外部の予約システムに移る所でドメインが変わる。ここでクリックIDを引き継げないと、来店・入会を広告に戻せない。

予約の受け方によって、やることが変わります。

予約の受け方体験予約の計測入会を広告に戻す方法
自社サイトのフォーム完了ページにタグフォームの隠し項目でgclidを保存し、入会をオフラインCVで取り込む
外部の予約システム(タグを置ける)Googleタグの「ドメインの設定」に自社と予約システムの両方のドメインを登録し、完了ページにタグ予約システムの項目にgclidを渡せるかを提供元に確認する
外部の予約システム(タグを置けない)予約ボタンのクリックを観測用のCVにする(入札には使わない)予約データと広告のクリックを日付・時間で照合して、キャンペーン別の入会率を推定
電話・LINE広告の電話番号表示で通話をCVにする(一定秒数以上)受付で「何を見て連絡したか」を記録して照合

取り込みに使うクリックIDは、クリックから一定期間内のものしか受け付けられません。体験から入会まで時間がかかる人もいるので、体験予約の時点でクリックIDを保存しておくのが前提です。予約ボタンのクリックをそのまま成果にして自動入札を回すと、ボタンを押しやすい人に配信が寄っていきます。その仕組みは中間地点で学習させる入札のリスクの記事で書いています。

体験予約率を上げるLPと、効果の確かめ方

広告の単価が高い市場では、LPの体験予約率を上げるのがいちばん効きます。体験予約率が4%から6%に上がれば、同じクリック単価でも体験予約1件の費用は3分の2になります。ピラティスのLPで、予約の前に必ず答えておきたいのは次の4つです。

  • 総額:体験料・入会金・月会費・事務手数料を足した、最初の月にかかる金額。月会費だけ書くと、予約後に知って来店しない原因になります。
  • 空き枠:直近1週間の体験枠の空きを、予約システムの画面と同じ形で見せる。予約できる日が見えるだけで迷いが減ります。
  • 当日の流れ:受付から着替え・レッスン・説明までの時間、服装、男性も参加できるか。
  • 入会しなくてよいこと:体験後の説明の時間と、その場で決めなくてよいことを書いておく。

LPを変えたら、効果が本物かを必ず確かめます。当社がある受託先(BtoB)でLPを改修した時は、改修前後を統計的に検証し、主力キャンペーンのCVRが約4.2%から約9%に上がったこと(統計的に有意)を確かめてから、CPAがほぼ半減したと判断しました。業種は違いますが、確かめ方は同じです。

2つのCVRの差の検定(z値)=(p₂ − p₁)÷ √(p ×(1 − p)×(1/n₁ + 1/n₂))

p は2期間を合わせたCVR。z が1.96を超えれば、95%の水準で偶然とは言いにくい差

クリック体験予約体験予約率z値判断
改修前1,50060件4.0%(基準)(基準)
改修後(A)1,40070件5.0%1.30まだ偶然の範囲
改修後(B)1,40084件6.0%2.48差があると言える

4.0%が5.0%になっても、1,400クリックではまだ偶然の範囲です。1日50クリックのスタジオで4%から5%への改善を確かめるには、1パターンあたり約6,700クリック、合計で約270日分のデータが要ります。4%から6%なら合計約75日、4%から8%なら約22日です。小さなスタジオほど、細かい文言のテストではなく、総額の表示や空き枠の表示のような大きな変更から試すのが現実的です。

広告とLPの表現で注意すること

ピラティスは姿勢や体の痛みの改善を期待して始める人が多く、広告文が医療的な効果をうたう方向に寄りがちです。「腰痛が治る」「骨盤のゆがみを矯正」のような病気の治療をうたう表現は避け、「姿勢を意識する習慣」「インナーマッスルを使う動き」のように、レッスンの内容で書きます。効果を言い切る表現は、消費者庁から合理的な根拠を示す資料の提出を求められると、15日以内に出せなければ不当表示とみなされます(景品表示法の不実証広告規制)。

「体験 通常3,000円→今なら0円」のような価格の比較は、比べる元の価格で実際に体験を受け付けていた期間が問われます。開業時からずっと0円なら、比較を書かずに「体験0円」とだけ書きます。インストラクターやインフルエンサーにSNSで紹介を依頼する場合は、2023年10月から施行されたステルスマーケティングの規制で、依頼した投稿であることが分かる表示が必要です。表現の規制はヨガスタジオの広告の記事でも例を挙げて書いています。

ピラティスの広告で実際に起きる落とし穴

定員が埋まっているのに、広告を止めない

夜と週末の枠が埋まった状態で広告を出し続けると、体験は平日の昼しか取れず、そこで入会した人は希望の時間に通えずに早く辞めます。入会後3か月以内の退会率が上がり始めたら、広告より先に枠の状況を確認します。広告のスケジュールで、埋まっている時間帯の体験を勧めない設定にするのも手です。

予約システムの「予約完了」を二重に数えている

予約完了ページに加え、確認メールのリンクから戻った時にも同じページが表示される予約システムがあります。コンバージョンのカウント方法を「1回」にしていないと、体験予約が水増しされます。管理画面の体験予約の件数と、予約システムの件数を週に1回突き合わせ、差が1割を超えたら設定を見直します。

マシンとマットのレッスンを同じ広告で売っている

マシンピラティスを探している人に、マットのクラスの体験を案内すると、来店しても入会しません。逆に、料金の安いマットを探している人に、マシンの総額を見せても離脱します。広告文とLPは、マシンとマットで分けます。

現場で使っているチェックリスト

  1. 台数・クラス数・営業日数から、会員数の上限を出しているか
  2. 損益分岐の会員数と、そこに届くまでの月ごとの入会数を決めているか
  3. 定員が埋まった後に必要な入会数(上限×退会率)まで広告を絞る計画があるか
  4. 体験予約1件の上限を、限界利益・退会率・来店率・入会率から出しているか
  5. 地域を所在地で絞り、「近く」と地域の検索を取りにいっているか
  6. オークション分析で、競合の出方と自社の上位掲載率を見ているか
  7. 外部の予約システムでも、クリックIDが予約データに残る形になっているか
  8. 体験予約の件数を、管理画面と予約システムで週に1回突き合わせているか
  9. LPに、最初の月の総額・空き枠・当日の流れが書いてあるか
  10. LPの変更を、件数が足りる期間で検定してから判断しているか

まとめ

マシンピラティスの広告は、台数で決まる定員から逆算すると、やることがはっきりします。立ち上げの1年は入会を取りにいき、定員が近づいたら退会の分だけを埋める。広告費の上限は、キーワードの単価ではなく、定員と退会率で決まります。

競合の多い体験の語で大手と単価を競うより、所在地で絞った「近く」の検索を取り、外部の予約システムまで計測をつなげて、入会の単価で判断する。この順番で組めば、小さなスタジオでも広告費の使い道に根拠が持てます。

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当社の予算運用では、定員と退会率から入会の目標と許容単価を出し、地域・キーワードの設計から、予約システムを含めた計測までまとめて担当します。運用手数料は広告費の10%(月額最低5万円・税別)。最初の60分の無料相談では、サービスの案内はせず、御社の数字を一緒に見ます。

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この記事を書いたチーム株式会社Acquizeの運用チーム。自社でもWeb広告で集客する事業を運営しながら、受託先の予算運用を担当しています。記事中の考え方は、実際の運用で使っているものです。

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