「リフォーム 広告」で調べているリフォーム会社の方の多くは、「リフォーム」という大きな言葉で広告を出し、CPA(問い合わせ1件あたりの費用)を1つの目標で見ています。ところが、リフォームはトイレ交換の30万円と、キッチンの120万円が同じ看板の下に並ぶ商売です。粗利も、契約になる割合も、検索から依頼までの日数も、部位ごとにまるで違います。この記事では、部位ごとの経済性を数字にして許容CPAを出し、リスティング広告(検索広告)のキャンペーンの分け方、季節と補助金による検索の動き、価値を付けた入札、審査と表現の注意点までを、実際の運用の手順で書きます。
この記事の結論
- 01問い合わせ1件の価値は「部位の粗利×問い合わせ→契約の割合」で決まり、部位の間で2倍以上違う。1つの目標CPAで全部位を回すと、小さな工事は赤字に、大きな工事は機会損失になる。
- 02キャンペーンは部位の前に「緊急系」と「検討系」の2つに分ける。給湯器・トイレは当日〜数日で決まり電話が中心、キッチン・浴室は数週間〜数か月かけて比べる。
- 03自動入札には件数ではなく部位ごとの期待粗利を「値」として渡す。リピートの見込みも値に含めると、入口の小さな工事にも根拠を持って予算を使える。
リフォームの広告は、部位ごとに別の商売になる
Googleキーワードプランナーで2026年11月に取得した、全国の月間平均検索数と「ページ上部に掲載された入札単価(高額帯)」です。入札単価は全国の参考値で、地域や時期で上下します。
| キーワード | 月間検索数 | 上部入札単価(高額帯) | 検索している人 |
|---|---|---|---|
| リフォーム | 110,000 | 743円 | 意図が広すぎる。施工事例を眺めたい人から業者探しまで |
| リフォーム 会社 | 9,900 | 968円 | 依頼先を探している |
| リフォーム 業者 | 3,600 | 1,013円 | 依頼先を探している。工事の中身が決まっていることが多い |
| トイレ リフォーム | 33,100 | 338円 | 交換の費用と工期を調べている |
| キッチン リフォーム | 18,100 | 209円 | 商品と価格を比べ始めた段階 |
| お風呂 リフォーム | 14,800 | 274円 | 浴室全体の入れ替えを考えている |
| 給湯器 交換 | 18,100 | 764円 | お湯が出ない・壊れかけ。今すぐ直したい |
| 内窓 | 8,100 | 268円 | 断熱と補助金を調べている |
| リフォーム 補助金 | 18,100 | 326円 | 補助金の対象と申請方法を調べている |
「リフォーム」の1語は月11万回検索されますが、入札単価は743円と高めで、検索している人の意図はばらばらです。部位の言葉が入った検索の方が、件数も十分にあり、何をしたい人かがはっきりしています。入札単価は給湯器が764円と、キッチンの3.6倍です。お湯が出ない人は比べる時間が無いので、上位に出ている数社に電話して決めます。そのぶん広告主の競り合いが激しくなります。
大事なのは、入札単価の高い・安いは結果であって、払ってよい金額は部位の粗利と契約率で決まることです。次の章で計算します。
部位ごとの許容CPAを出す
部位ごとに、客単価・粗利率・問い合わせ→契約の割合を置いて、問い合わせ1件の価値(期待粗利)を出します。数値は説明用の仮の数字です。自社の過去12か月の契約台帳から、部位ごとに同じ表を作ってください。
問い合わせ1件の期待粗利 = 客単価 × 粗利率 × 問い合わせ→契約の割合
許容CPA = 期待粗利 × 広告に回せる割合(ここでは25%)
浴室:1,100,000円 × 30% × 25% = 82,500円 → 82,500円 × 25% = 20,625円
| 部位 | 客単価 | 粗利 | 問い合わせ→契約 | 期待粗利 | 許容CPA |
|---|---|---|---|---|---|
| トイレ交換 | 300,000円 | 90,000円 | 45% | 40,500円 | 10,125円 |
| 浴室(ユニットバス) | 1,100,000円 | 330,000円 | 25% | 82,500円 | 20,625円 |
| キッチン | 1,200,000円 | 360,000円 | 22% | 79,200円 | 19,800円 |
| 給湯器交換 | 350,000円 | 98,000円 | 55% | 53,900円 | 13,475円 |
| 内窓 | 500,000円 | 150,000円 | 30% | 45,000円 | 11,250円 |
給湯器とトイレは契約率が高い一方、1件の粗利が小さいので、期待粗利は4〜5万円台です。浴室とキッチンは相見積もりで負けることが多く契約率は2割台ですが、1件の粗利が大きいので期待粗利は8万円前後になります。
これを1つの目標CPAで運用すると、何が起きるかを表にしました。全部位をならして目標CPAを15,000円にした場合です。
| 部位 | 許容CPA | 一律15,000円との差 | 起きること |
|---|---|---|---|
| トイレ交換 | 10,125円 | −4,875円 | 許容を超えて入札し、取るほど粗利を削る |
| 浴室(ユニットバス) | 20,625円 | +5,625円 | まだ払えるのに入札を抑え、件数を取り逃す |
| キッチン | 19,800円 | +4,800円 | 同上 |
| 給湯器交換 | 13,475円 | −1,525円 | 競り合いが激しい分、許容の上限に張り付きやすい |
| 内窓 | 11,250円 | −3,750円 | 補助金の時期に件数が増えるほど赤字が広がる |
自動入札は、目標CPAの範囲で取りやすい件数から取りにいきます。トイレや給湯器のように問い合わせ率の高い部位に予算が寄りやすく、平均のCPAは目標どおりなのに、粗利の合計は減っていく、という形で表に出ます。
キャンペーンは「緊急系」と「検討系」に分ける

部位ごとにキャンペーンを細かく分けると、1つあたりの件数が少なくなり、自動入札の学習が進みません。当社では、まず「緊急系」と「検討系」の2つに分け、その中で部位ごとに広告グループを作る形を基本にしています。
緊急系(給湯器・トイレ・水漏れ)
- 電話が主役:広告に電話番号を出し、LPのファーストビューにも電話のボタンを置きます。電話のコンバージョンは60秒以上の通話だけを数えます。
- 受付時間の外では出さない:受託先(来店・訪問型サービス)の分析では、電話の受付時間外になる20時以降は費用対効果がゼロでした。緊急系は電話に出られる時間だけ配信します。
- 広告文は「何時に行けるか」:在庫のある機種、最短の訪問日、出張費の有無を書きます。比べる時間の無い人が知りたいのはそこです。
検討系(キッチン・浴室・内窓)
- フォームと来店予約が主役:ショールームの来店予約、現地調査の申し込み、見積もり依頼をそれぞれコンバージョンにします。
- 広告文は「価格と事例」:商品のグレード別の価格帯、工期、施工事例の数を書きます。メーカー名で検索する人も多いので、扱っている商品名を広告グループに入れます。
- 評価は数か月単位:問い合わせから契約まで時間がかかるので、週単位のCPAで止めたり動かしたりしません。
「リフォーム 会社」「リフォーム 業者」のような部位の入らない検索は、どちらにも入れず、施工事例の一覧ページに着地させる別の広告グループにします。部位の入った検索と同じ広告グループに入れると、問い合わせの内訳が分からなくなるからです。
季節と補助金で、検索の山がずれる
部位ごとに、検索が増える時期は違います。キーワードプランナーの月別の検索数です(全国。数値は丸めて表示されるため、細かな差は誤差の範囲です)。
「給湯器 交換」は2025年11月〜2026年1月が22,200件、6〜7月が12,100件で、冬と夏で1.8倍の差があります。寒くなって故障が増える時期です。緊急系の予算は、この山に合わせて冬に厚くします。「キッチン リフォーム」と「リフォーム 補助金」は2026年1月が27,100件で、どちらも年明けに山があります。
補助金の時期に気をつけること
国の「住宅省エネ2026キャンペーン」は2026年3月31日から交付申請の受付が順次始まっています。この補助金は、施主ではなく、登録した住宅事業者が申請する仕組みです。そのため「補助金の申請まで当社が行います」は、リフォーム会社が広告で使える強い訴求になります。
- 予算に達したら受付が終わる:補助金は予算の上限に達した時点で終了します。終了後も「補助金で最大〇〇万円」の広告が出続けていると、問い合わせの後にがっかりさせるうえ、表現の問題にもなります。事業の公式サイトの予算の消化状況を週1回確認し、終了の告知が出たら広告文とLPを当日中に差し替えます。
- 金額は対象の工事と条件を添える:補助額は工事の内容や住宅の条件で変わります。上限額だけを大きく書かず、「対象工事の場合」「条件あり」を同じ画面に書きます。
- 補助金の検索は契約まで遠い:「リフォーム 補助金」で検索する人は、まだ何を工事するか決めていないことが多い層です。部位の入った検索とは分け、許容CPAも低めに置きます。
着地ページは部位ごとに分け、問い合わせの中身を記録する
キャンペーンを分けても、着地ページが会社のトップページ1つだと、広告の効果は半分になります。給湯器が壊れた人がトップページに来ると、キッチンの施工事例やリフォームの流れの説明を読み飛ばして、電話番号を探すことになります。その間に、上に出ている他社へ戻ります。
当社が部位ごとの着地ページで最低限そろえているのは次の4点です。
- その部位の価格帯:商品のグレード別に「本体+工事費」の目安を出します。価格を隠すと、問い合わせ率は上がっても、見積もりの段階で予算が合わずに終わる件数が増えます。
- 工期と、最短でいつ工事できるか:緊急系では「最短で何日後に訪問できるか」、検討系では「工事中に何日使えなくなるか」が判断の材料です。
- その部位の施工事例:トイレのページにはトイレの事例だけを載せます。事例の写真の下に、工事費と工期を書きます。
- 相談内容の選択肢:フォームに部位の選択肢を置き、送信時にその値をコンバージョンの値に使います。次の章の「値」を付ける入札の土台になります。
問い合わせの後は、顧客台帳に「どの部位で来て、何の工事で契約したか」を記録します。トイレのページから来て浴室まで契約する、といった部位のずれは珍しくありません。この記録が無いと、部位ごとの契約率が出せず、許容CPAの表を更新できなくなります。
件数ではなく「値」を渡して入札する
部位ごとに許容CPAが違うなら、自動入札にもその違いを教えます。やり方は、問い合わせのコンバージョンに部位ごとの期待粗利を「値」として付け、目標ROASの入札にすることです。
コンバージョンの値 = その部位の期待粗利(粗利 × 問い合わせ→契約の割合)
目標ROAS = 1 ÷ 広告に回せる割合 = 1 ÷ 25% = 400%
目標ROASを400%にすると、自動入札は「期待粗利4円につき広告費1円まで」で入札します。浴室の問い合わせには20,625円まで、トイレには10,125円まで、という前の章の許容CPAと同じ線を、自動入札が部位ごとに引いてくれる形です。
値の付け方は、フォームの「ご相談の内容」の選択肢ごとにタグで値を変える方法と、広告グループ(部位)ごとにコンバージョンアクションを分ける方法があります。電話は、通話先の番号を部位ごとに分けられない場合、緊急系のキャンペーンの平均の値を付けます。
リピートの見込みも値に入れる
リフォームは、一度工事をした家から別の部位の依頼が来る商売です。トイレ交換で入ったお客さんから、数年後に浴室の相談を受けることは珍しくありません。入口の小さな工事を初回の粗利だけで評価すると、許容CPAが低すぎて取りにいけなくなります。説明用の数字で計算すると次のとおりです。
1契約の生涯粗利 = 初回の粗利 + 別の部位を依頼する割合 × その工事の粗利
トイレ交換:90,000円 + 20% × 330,000円 = 156,000円 → 期待粗利 156,000円 × 45% = 70,200円 → 許容CPA 17,550円
初回だけで見た10,125円から、17,550円まで払えることになります。ただし、この「別の部位を依頼する割合」は自社の顧客台帳で実際に数えた数字だけを使います。期待で盛ると、入口の工事に予算を使いすぎます。台帳で数える時は、過去の顧客を最初の工事の年で分け、3年以内・5年以内に別の工事を依頼した割合を出します。
審査と表現:リフォーム広告で止まりやすい所
リフォームは、点検を口実にした訪問販売のトラブルが多い業種です。国民生活センターによると、屋根工事の点検商法の相談は2018年度の923件から2022年度は2,885件に増えています。広告の審査も、施主の目も、表現に厳しくなっています。
当社の自社運用でも、広告が審査で大量に不承認になったことがあります。不承認の理由を分類し、LP側の独自の内容と広告文を直したところ、承認42本・不承認6本まで改善し、誇張した表現による不承認は22件から1件になりました。止まった広告を1本ずつ直すのではなく、理由を分類して共通の原因を直すのが早道です。
- 最上級と順位:「地域で一番」「どこよりも安い」は、調査の出典と時期が無ければ書きません。景品表示法の優良誤認・有利誤認を問われるおそれがあり、審査でも止まりやすい表現です。
- 二重価格:「メーカー希望価格から〇〇%オフ」は、比較している価格が何かを同じ画面に書きます。自社の「通常価格」と比べるなら、その価格で実際に売っていた期間が必要です。
- 補助金の金額:前の章のとおり、上限額だけを大きく書かず、条件と終了の可能性を添えます。
契約の手続きで気をつけること
- 施主から見積もりを頼まれて訪問した場合でも、頼まれていない工事を訪問先で勧めて契約すると、特定商取引法の訪問販売の規定(書面の交付・クーリングオフ)がかかる場合があります。
- 請負金額が税込500万円以上の工事(建築一式工事を除く)は、建設業の許可が必要です。契約を分けても、正当な理由が無ければ合計で判断されます。許可を持っている会社は、許可番号を広告とLPに出すと信頼の材料になります。
配信開始から3か月の手順
| 時期 | やること | 見る数字 |
|---|---|---|
| 開始前 | 部位ごとの客単価・粗利率・契約率から期待粗利と許容CPAを出す。フォームに相談内容の選択肢とクリックIDの隠し項目を用意する | 部位ごとの許容CPA |
| 1か月目 | 緊急系と検討系の2キャンペーンで開始。入札は上限CPCを決めた手動か、件数の最大化に上限CPCを付ける。検索語句を週1回見て、費用だけかかっている語句を除外に足す | 部位ごとのCPA・通話件数 |
| 2か月目 | 部位ごとの値を付けたコンバージョンに切り替える。現地調査・契約を毎日取り込む | 部位ごとの期待粗利とCPAの比 |
| 3か月目 | 値付きのコンバージョンが月30件前後を超えたキャンペーンから、目標ROAS(例 400%)の入札に移す。季節の山に合わせて予算を月ごとに組み直す | 粗利ベースのROAS |
契約のデータを広告に戻す計測の考え方は、MCVで自動入札を学習させるリスクの記事で、予算を足す時の判断は増分CPAとCPAカーブの記事で詳しく書いています。
チェックリスト
- 部位ごとに客単価・粗利率・問い合わせ→契約の割合を、自社の契約台帳から出したか
- 部位ごとの許容CPAを決め、全部位を1つの目標CPAで回していないか
- キャンペーンを緊急系と検討系に分け、部位は広告グループで分けているか
- 緊急系は電話の受付時間内だけに配信し、60秒以上の通話を数えているか
- 部位の入らない検索(リフォーム 会社 等)を、部位の検索と混ぜていないか
- 給湯器は冬、キッチンと補助金は年明けなど、部位ごとの季節で予算を組んでいるか
- 補助金の予算の消化状況を週1回確認し、終了したら当日中に広告文を差し替える体制があるか
- 問い合わせのコンバージョンに、部位ごとの期待粗利を値として付けているか
- リピートの見込みを値に入れる時、台帳で実際に数えた割合だけを使っているか
- 最上級の表現・二重価格・補助金の金額に、出典と条件を添えているか
まとめ
リフォームの広告は、「リフォーム」という1つの商売として扱うと、平均の数字に隠れて粗利が減っていきます。トイレと浴室は、1件の価値も、決まるまでの日数も、受付の手段も違う、別の商売です。
部位ごとの期待粗利から許容CPAを出し、緊急系と検討系にキャンペーンを分け、部位ごとの値を自動入札に渡す。季節と補助金の動きに合わせて予算と広告文を組み替える。この順で組み立てると、広告費を増やす時も減らす時も、どの部位から動かすかを数字で決められるようになります。
予算運用(リスティング広告の運用代行)
御社の部位ごとの「問い合わせ1件の価値」を、一緒に出しませんか。
当社の予算運用では、部位ごとの許容CPAの設計、緊急系と検討系のキャンペーン設計、値を付けたコンバージョンと契約データの取り込みまでまとめて担当します。運用手数料は広告費の10%(月額最低5万円・税別)。最初の60分の無料相談では、サービスの案内はせず、御社のアカウントの設定と数字を一緒に見ます。
この記事を書いたチーム株式会社Acquizeの運用チーム。自社でもWeb広告で集客する事業を運営しながら、受託先の予算運用を担当しています。記事中の考え方は、実際の運用で使っているものです。

コメント